短編小説 茶番パーンチ バズれば勝ちだ!!
*この物語はフィクションです。実在の人物・イベントとは一切関係ありません。
一人の男が決意した。
成り上がりたい男だ。
有名になって、一発当てたい。覚悟はあるらしい。
名前はA氏。
SNSで一儲けする方法を探していたところ、喧嘩イベントの存在を知った。
「ここだな」
イベントは動画サイトで配信される。
勝てば知名度、負けても話題。
どちらに転んでも名前は売れる。
A氏は思った。
「力には自信あるぜ!」
根拠はない。
だが本人は疑っていなかった。
応募理由は単純だ。
目立って、稼ぎたい。
それだけだ。
さっそくAは応募した、喧嘩の流れはこうだ、演出が流れや構成をあらかた決め、有名動画サイトwortubeで煽り合い、決まった相手と戦うというもの。
演出は煽って促してくれるし、俺は目立つ行為をすればいいだけだ。
さっそくオーディションに行こうと決意し応募、見事合格した。
「流石俺様、ここで一発ぶち上げる!」
意気揚々Aはオーディションまでウキウキで寝れない日々が続いた。
〜オーディション当日〜
オーディション会場当日になった、Aは早速
「オレより強い奴こん中にいんのかよ、全員雑魚ばっかやろ」
と、いきなりオーディション会場で啖呵を切り始めた。
動画を見ていて、イキッたやつが伸びやすい傾向があると事前に研究していたのだ。
反応したのはB。
「あん?お前まじ舐めんなよコラ」
BはAの態度が気に入らなかったのだ。
Bは必要に絡み続ける。
「タイマンはるか?オ?オ?」
Aから煽ったとはいえ、絡まれ続けるのも気に入らない、そして
「お前家族持ちなんに、こんな事してて恥ずかしくないんか?」
この一言にAはついにブチギレた。
「家族は関係ないだろ!」
Aは思わぬカウンターに沸点を超え殴り合いが始まった。
周りのスタッフたちが止めに入り、なんとかその場は収まった。
会場のスタッフ達は
「試合の組み合わせ、決まりましたね。」
対戦カードに選ばれた、ついに成功への片道切符を手に入れたのだ。
自分を応援してくれるスポンサーまでついてるオマケ付き。
「自分から仕掛けて煽り返す、後は数分バトルするだけで知名度上がる、なんて美味しい商売、これで俺も成功者だ!」
今までの苦しい生活とはおさらば、家族に報告せねばと、Aは意気揚々と自宅へと帰参した。
Aは帰宅後家族に
「聞いてくれ!喧嘩イベントの対戦カードに選ばれたんだ、これで億万長者への片道切符手に入れたも同然、お前にも美味しい食事や高い服を買ってあげられるようになるんだ!」
家族の反応は良好で
「まぁ、なんてこと、今夜はお赤飯ね」
Aはその問いに対して
「何言ってんだ、俺は成功者のロード走ってんだぞ?そんなものより美味い寿司を食いに行こう!」
そして、家族連れで回らない寿司屋へ行き、思い切り散財した。
Aは家族が喜んでくれた、俺も好きなものを買えるようになると舞い上がっていたのだ。
〜試合前のフェイストゥフェイス〜
試合前のフェイストゥフェイス、向き合って対戦相手と睨み合う。
というのは口実で、煽れば煽るほど閲覧数、引いては俺のファンが増える、それも研究済みだった。
AはBに向かって
「オウオウ、よく来たな、逃げるんじゃねーかと思ってヒヤヒヤしたわ」
Bは無言でAを睨み続けている、Aは続けた。
「でも逃げた方が良かったかもな、お前、見るからに弱そうだもんな〜」
すると突然目の前が真っ暗になった。
パンチを喰らったのだ
「グハッ!!!!」
意識なくAは倒れた。
Aは一瞬天井が見えたがすぐに視界が真っ暗に。
Bは
「ハハ、この程度で倒れるなんてマジで雑魚いな〜」
しかしAは答えない、周りがざわつき始める。
「オ、オイ、やばくないか?」
「た、担架だ、担架担架」
Aは救急車に運ばれて、なんとか一命を取り留めた。
だが、後遺症が残ってしまった、体に爆弾を抱えてしまったのだ。
でもAは諦められない、だって稼ぎたいし有名になりたいからだ。
悔しい思いを胸にBに対しリベンジ欲をメラメラと燃やしていた。
入院費当日、運営責任者がやってきた。
責任者は
「君のおかげで閲覧数、反応率がものすごいことになったよ〜ありがとうね!」
運営側は大喜びだったのだ。
「医者に聞いたらすぐに退院できるそうだ、入院費や治療代はこちらが持とう、経過待ちだが、後遺症はリハビリ次第でなんとかなるそうだ。」
Aは喜んだ、Bにリベンジしないと気が済まない。
「ぜひ、戦わせてください!、このままじゃ終われない、終われないんです!」
責任者と軽い雑談をして、今後の流れを取り決め責任者はその場を離れた。
Aは大喜び、SNSでも心配の声と、アンチが一斉に集まっているのだ。
「前の俺はただのチンピラ、誰にも評価されなかったのにこんなに心配と称賛、そしてカスアンチによる認知を取れるなんて幸せだ〜」
Aは入院中で後遺症さえなければベッドに立ってジャンプしたいという気持ちを必死に抑え、拳を握りしめて喜びを露わにした。
〜責任者側〜
責任者は見舞いを終えた帰路の途中に部下と合流し、タクシーに乗って談笑した。
部下は
「今回もバズりましたね〜、このまま突き進んで行きましょう!、ただ、A、リハビリでなんとかなるみたいだけど再戦の希望持たせて大丈夫なんですか?」
部下の問いに対して責任者は
「本望さ、だってこれで彼の目的、知名度を得た、これで稼げるようになる、俺たちも閲覧数を得た、winwinだ!
俺たちは閲覧数をいかに考えるか、それだけを考えてればいい、仮に最悪の結果になっても、家族にお金渡して責任を見せればいいのさ!
それより見ろよ、このアンチ、ほんまわかってないわー」とゲラゲラ笑った。
部下はその問いに
「そうですね!この世はSNSをいかに駆使するか、それさえ取れれば後はどうにでもなりますもんね!アンチのおバカ投稿、私にも見せてくださいよ〜」
責任者、部下、そしてAも共に目的のために動き、そして理想通りの反応を得たのだ。
タクシーは高速道路に入り、長い道を進んだ、それは果てしなく続いていた、、、。

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